今日は多くの人たちの関心事である「介護サービス」について役に立つ話を聞かせてください
私は、包括支援センターで介護支援専門員(ケアマネ)をしていました。その経験から「介護保険ってどんな仕組み?どう利用するの?」という声を聞くことが多くあり、そのような疑問を持つ人に何かお伝えできればと思います。介護保険の利用は、一般的には65歳以上、介護認定を受けていること、介護度が要支援1~2または要介護1~5のいずれかに認定されていることが前提です。その中で今回は、「施設利用」ではなく「在宅サービス」についてお話ししてみたいと思います。
在宅でのサービスにはどのようなものがあるのですか?
「在宅サービス」には次のようなものがあります。介護の程度やニーズの違いに応じて適切に組み合わせて利用するといいです。
【①訪問サービス】◆訪問介護・自宅で食事・掃除・洗濯・買い物・入浴・排泄介助等、ヘルパーが来てくれます。◆訪問入浴サービス・・・入浴スタッフが移動式浴槽持参で来てくれます。•訪問看護サービス・訪問看護師が医師の指示に基づいて医療処置や健康管理をしてくれます。•訪問リハビリサービス・・・自宅でリハビリ指導や支援サービスを受けることが出来ます。
【②通所サービス】▶通所介護(デイサービス)…施設に通って食事・入浴や排泄介助を受け、いろいろなレクリエーションも楽しむことができます。•通所リハビリ(デイケア)…施設に通ってリハビリを受け、食事・入浴・排泄介助を受けることが出来ます。
【③入所サービス】•短期入所生活介護(ショートステイ)・・・施設に短期間宿泊し、介護や生活支援を受けます。介護する側が体調不良や冠婚葬祭等により介護できない場合にも利用出来ます。
【④定期巡回随時対応型訪問介護・訪問看護】
日中、夜間を通じて訪問介護と訪問看護が一体となって密に連携。定期巡回や緊急時などに随時対応し訪問看護・介護を行います。24時間、35日対応のサービスです。
在宅サービスはいろいろあるのですね。
利用する時にはケアマネとの契約が必要です。利用料金については担当のケアマネさんに相談して下さい。高齢になると何らかの影響で筋力、特に下肢筋力の低下が起こります。ひざや腰の痛みがあると運動量が少なくなり益々筋力低下が進んで歩行困難になっていきます。家族構成も気がつくとすっかり変わり、老夫婦又は一人暮らしになっているということも少なくありません。入院している人からは、住み慣れた我が家が一番落ち着く、早く自宅に戻りたい、という声を多く聞きます。介護保険制度が始まって24年目になりますが、この在宅サービスを上手に使う事でいろいろな安心が得られます。同居の家族や他府県に住む家族にもそれほど負担をかけないで過ごすことも可能です。
在宅支援で少しでも豊かな老後が送れるなら有難いですね。
【食べること・寝ること・排泄】は人間の三大欲求です。これらはご自身でしか出来ないことで、親子でも大好きな人でもその方に代わって行うことは出来ません。しかし、食べ物の調達・調理等は支援できますし、介護用ベッドのレンタルで安全に起き上がり立ち座りの支援も出来ます。排泄について言えば、トイレまでの安全移動確保は出来ますが、尿意・便意が無くなったりするとオムツになります。しかし、歩行困難でオムツ生活になった場合でも、こうした在支援を上手に組み合わせて利用することで、豊かな生活を維持することが可能です。
通院の不安や困難について何かよい提案がありませんか?
日々の健康管理が気になる人、血圧・コレステロール・糖尿病の数値・便秘薬・眠剤など通院が必要な人や、歯科治療が必要な人は多いと思いますが、そういう人も訪問診療を利用するといいと思います。訪問診療は在宅クリニックの医師が往診に来てくれます。その時処方された薬も薬局が届けてくれて説明もしてくれます。病院や医院に行って、長時間待たされて5分の問診で処方箋をもらって薬局へ行き、それで半日かけている方も多いと思います。訪問診療を利用することで「一人で行けない」「付添いが必要」などの不安の解消も出来ます。
身辺自立ができなくてもどうしても自宅に戻りたいという人もいますね。
目身では何も出来なくても意思疎通可能であれば<定期巡回随時対応型訪問介護看護のサービス利用)である程度(かなり!!)元気になります。これはとても画期的なサービスです。遠隔地の家族やその時間仕事中である家族のもとに、回復していく様子がアプリで確認できるので家族も安心です。歳を重ねても、身体状況に困難が増えてきても、自身ではっきりと目標を立て、意向をしっかり伝えるようにすることです。元気になってあれがしたい、これがしたいという意思表示をした上でサービスを選ぶ事が元気になる、自立への第一歩です。「夢」を持って下さい。ただその夢を叶える直接の支援は介護保険適用外ですので悪しからず。