「やさしい世界」
七中校区 比嘉 進
毎年4月に訪れる新しい年度を迎え、ボーイスカウト活動をしている子ども達も新学期の始まりとともに新生活がスタートします。この時期は「緑の羽根募金」の奉仕活動を行い、春の訪れを実感し新しい仲間と新鮮な気持ちでボランティア活動に挑んでいます。スカウト達へは「緑の羽根募金」の意義を考えてもらうため、地球上の生物が生きるために必要な酸素は、植物が光合成により作ってくれることや、異常気象が災害を引き起こし、生活に影響を与えていることを説明し、環境保護を説いて募金活動を始めます。駅前で募金箱を抱え、最初は恥ずかしそうに小さな声で寄付を呼びかけていましたが、徐々になれてきて大きな声になっていきます。このような様子を見るたびに、スカウト達の成長と頼もしさを感じています。
道行く人たちが街中に元気な声を出すスカウト達の姿を目にとめると、鞄から財布を取り出しながら子ども達に近づき「募金がんばりや」と話しかけてくれます。やがて、小さな子どもが、一緒にいた母親から離れて小銭入れからこづかいを取り出すと、スカウトは屈みながらその子の手元まで募金箱を下げていくようになります。この活動を通してスカウト達もやりがいと感謝の心を感じていることでしょう。募金活動を行うスカウト達と募金をした人たちが、お互いに利他の心で磁石のように引きつけられ協力する様を見て、さらに他の人も同様に利他の心が伝播し募金箱に手をこの人々のやさしさが形となり、私達を信用して募金してくださることをありがたく思うと同時に、善意の心がきちんと届くように毎回緊張感をもって活動しています。しかし、社会では募金活動のように同じ思いを持つ人たちが繋がることもあれば、様々な場面で互いの考えに反発する人もいるのは確かです。磁石は反発する極が近づくと、さらに反発して飛んでしまうか、くるりとひっくり返ってしまいます。世の中もいろいろな思想があり、それぞれの考えを持った人たちが社会を動かしていて、その中で私達が生活をしています。一本の棒磁石はN極とS極が同居して磁石として成り立っています。その磁石を熱すると磁力がなくなることが知られています。お互いに熱い議論を交わして思いをぶつけてみれば融和する方法もあるのではないかと思います。またもし、相反する考えの人たちと意見がぶつかったとき、磁石のようにくるりと反転して相手の気持ちを考えたりすればお互いに歩み寄ることが出来るかもしれない、などと募金活動を行うスカウトの子どもたちを見て考えたりしています。