【会報73号より】この人に聞く2

■協力雇用主になったきっかけは?

仕事でお世話になっている保護司さんからすすめられ、自分にも何か 社会のお役に立てることがあればと思い引き受けました。

■保護観察対象者を雇用するにあたって配慮したことは?

人間関係がスムーズにいくように、事前に職場のみんなに対象者のことを話し、受け入れ態勢を作りました。

■対象者を雇用してから苦労したことは?

 睡眠薬の過量服用による遅刻欠勤、飲酒によるケンカやトラブル、自分勝手な被害妄想など、過去2年間に5回くらいの問題がありましたが、時々一緒に食事をしたりしてその都度解決してきました。職場のみんなもよく協力してくれたのでとても助かりました。

■協力雇用主になって報われたことは?

 うちは建設業なので、たまたま雇用した人が女性だったこともあり、男社会の職場の雰囲気が良くなりました。辞めることなく今も働いてくれています。就業の継続を支える苦労はありますが、立ち直っていく姿を見ることは喜びです。協力雇用主会の集まりがコミュニケーションの場となり、様々な情報交換が出来たという良さもあります。

■雇用主から保護司会に知っておいてほしいことは?

 一般的に対象者の就労がなかなか定着しないこと、仕事に慣れるまでに時間がかかること、人手も費用もかかること、外部の風評や時には中傷による信頼失墜もあることなどリスクが伴います。受け入れる側として、事業所の欠員状況、対象者の人柄、罪状と仕事内容の適合性など、様々考慮する必要があることをわかってほしいと思います。

■保護司に臨むことは?

 職場の雰囲気や働きぶり、人間関係はどうかなど常に見守り、預けた対象者にたえず関わってやってほしいです。そうすることで仕事に対するモチベーションが高まり、立ち直りに繋げていくことが出来ると思います。

■今回の取材で広報部が感じたこと

 適切な就労先の確保と継続への支援は、立ち直りを進める上で重要な要件であることは周知されているところですが、今回の取材を通して、雇用する側には様々な葛藤があることを私たち保護司はもっと知る必要があると痛感させられました。保護司会と協力雇用主会との情報交換をもっと密にし、連携を深めることが必要だと思います。

現在の雇用の現状としては、女性対象者の就労先が少ないという課題があります。主な要因として、女性に好まれる職種には資格が必要なものや、技術習得に時間と経費がかかるものが多いことなどが考えられます。今後も多様な職種の雇用主を開拓する努力が必要だと感じました。
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