研修部の主な活動

私たち保護司は守秘義務など法的なこと、環境調整や面接の方法、薬物対象者の対応など学ぶべきことはたくさんあります。研修部では様々な研修を通して一人一人の保護司の自己研鑽を助けます。毎年、保護観察所と連携しながら定例研修会の充実に努め、管外研修や日帰り研修の計画、実施を行っています。 

令和5年度の研修報告

三団体合同研修会

  • 日時:令和5年3月10日(金) 
  • 所:市民会館 第1会議室 
  • テーマ:薬物非行の理解と対応  少年鑑別所・少年院の現場から
  • 師:大阪法務少年支援センター
    地域非行防止調整官 今原かすみ氏
    法務教官専門官 永尾美佳氏 

今回は、少年鑑別所での薬物事犯についての取り組みの実践を学ぶ機会を得ました。 

1.少年鑑別所の業務(鑑別・観護処遇 

鑑別(アセスメント)―非行に及んだ原因、要因の解明、面接や行動観察、再非行防止、社会復帰のための処遇指針の策定 観護措置―在所者の法的地位又は特性に応じた健全育成を目指した適切な働きかけ 地域援助―地域における非行・犯罪の防止に関する援助 

②最近の入所者の特徴等 
全国的に入社者数は減少傾向にあるが、精神障害(知的障害、精神障害等)を有する入所者の割合、大麻取締法違反の入所者は増加している(男子9:女子1) 

③少年鑑別の業務(地域援助)
非行・犯罪に関する問題などに知識・ノウハウを活用した地域の非行・犯罪に関する活動、問題のアセスメント、専門的介入、事例検討会、講演研修 

④女子少年院における薬物指導について 
特定生活指導(薬物)―薬物非行で入院した少年、薬物依存傾向で要指導の少年5名程度のグループワーク、状況や気持ちの振り返り、対策を考えさせる、外部講師による薬物ミーティング(経験を語り、問題点や今後の向き合い方を共有) 

〈保護者に対する働きかけ〉 

保護者講習会の実施―薬物依存に関する一般的な知識の説明、仮退院後のお願いと援助面会―薬物使用に関して保護者と少年に話してもらう機会を設ける少年鑑別所、少年院、保護観察所などでの経験に基づく講義内容は、保護観察の対象少年を担当するに当たり、解除後に再犯しない、させないことを目指して、支援をしていく上で大変参考になりました。(参加者40名) 

令和5年度の研修報告

第四期定例研修会

  • 実施日:令和5年2月3日(金)
  • 場所:市民会館第1会議室
  • テーマ:「薬物事犯について」
  • 講師:大阪保護観察所

主任保護観察官 北口拓哉 氏

本研修は、薬物依存についての 理解を深めるとともに、保護司が直面する場面について、薬物事犯対象者の処遇の充実・強化に資することをねらいとしている。

◆薬物依存とは

薬物依存には「性格や意志が弱いせいではない」「慢性の病気」「進行性の病気」「死亡率が高い」「性格が変化する」「依存対象が他のものに変わる」「人を巻き込む病気」という七つの特徴がある。

依存を引き起こす薬物には覚せい剤、違法薬物などが知られているが、その他、大麻、市販薬物への依存が若者の間で目立っており、薬物使用の入口となる「ゲートウェイ・ドラッグ」として近年問題視されている。

刺激との葛藤を繰り返し再犯率も高い傾向のある対象者に対して、「刺激の引き金となるものを避ける」「錨をつける」「一番大切な回復への道のり」という対応に際しての視点が学びになった。

◆家族のセルフケア

対象者の回復には「身体」「脳」「心」「人間関係」の4段階があり、長い時間がかかり、家族や友達の見守りが必要である。ミニ演習では家族の対応について5つの「望ましいコミュニケーションの基本」を知った。

① 適切な時を選ぶ
  • 苦情や文句は明確に
  • 「アイ・メッセージ」を使う(相手を非難せず尊重しつつ《私》を主語にして伝えるコミュニケーション)
  • 理解を示す表現をする
  • 問題が起きたときは部分  的に責任を受け入れる

◆家族支援について

家族が孤立してしまう傾向があり、大阪保護観察所や民間支援団体により、「家族教室」や「薬物乱用防止プログラム」「グループミーティング」などの支援がある支援団体代表の「医療・福祉の両面から支援していく必要がある」「回復する権利があり、そのための社会資源が増えていかなければいけない」という言葉が印象に残る。容易ではないが、回復のプロセスを支援する伴走者になりたいと思った。

令和4年度の研修報告

第三期定例研修会 

  • 実地日 令和4年11月11日(金)
  • 場 所 市民会館第一会議室
  • テーマ「犯罪被害者等施策及びしょく罪指導プログラムについて」
  • 講師 大阪保護観察所 主任保護観察官 北口拓哉 氏
  • 参加者 38名

更生保護における犯罪被害者等施策には、意見等聴取制度、心情等伝達制度、被害者等通知制度、相談・支援という4つの制度がある。 

 令和3年3月に策定された第4次犯罪被害者等基本計画では、更生保護活動に関わって今後講じていく施策の一つとして、「保護観察対象者に対し、再び罪を犯さない決意を固めさせ、犯罪被害者の意向等に配慮しながら誠実に対応するよう促すため、しょく罪指導適切に実施する」ことが盛り込まれた。 

 警察では被害者救済プログラムが実施されており、観察所では加害者しょく罪指導プログラムが実施され、加えて弁護士の立場があり、この三者の絡みが難しい。 

被害者の視点ばかりに立つと加害者処遇がやりづらくなり、想像力を持って被害者の立場に導くのは容易ではない。 

令和4年度の研修報告

第三期定例研修会 

  • 実地日 令和4年11月11日(金)
  • 場 所 市民会館第一会議室
  • テーマ「犯罪被害者等施策及びしょく罪指導プログラムについて」
  • 講師 大阪保護観察所 主任保護観察官 北口拓哉 氏
  • 参加者 38名

更生保護における犯罪被害者等施策には、意見等聴取制度、心情等伝達制度、被害者等通知制度、相談・支援という4つの制度がある。 

 令和3年3月に策定された第4次犯罪被害者等基本計画では、更生保護活動に関わって今後講じていく施策の一つとして、「保護観察対象者に対し、再び罪を犯さない決意を固めさせ、犯罪被害者の意向等に配慮しながら誠実に対応するよう促すため、しょく罪指導適切に実施する」ことが盛り込まれた。 

 警察では被害者救済プログラムが実施されており、観察所では加害者しょく罪指導プログラムが実施され、加えて弁護士の立場があり、この三者の絡みが難しい。 

被害者の視点ばかりに立つと加害者処遇がやりづらくなり、想像力を持って被害者の立場に導くのは容易ではない。 

令和4年度の研修報告

第二期定例研修会 

  • 実施日 令和4年9月8日(金) 
  • 場所市民会館3階講義室 
  • テーマ「少年法の改正について」 
  • 講師 大阪保護観察所主任保護観察官北口拓哉氏 
  • 参加者 38名  

公職選挙法や民法の改正で成年年齢が18歳に引き下げられたことを受け、令和4年4月1日「改正少年法」が施行された。改正少年法では、20歳未満の者を「少年」として少年法の適用対象とした上で、18歳・19歳の少年を「特定少年」と位置付け、変更点や留意事項についての説明を受けた。 

今回の少年法改正により「特定少年」は成人に近い扱いを受けることになるが、一定の年齢に達しかつ重大な罪を犯した者を改正の対象とし、成人としての責任を重視する一方で、教育による更生も大切にするというバランスを取った内容となっている。「罰するだけではない再犯防止」を模索するという大きな流れの中で「教育」が求められるようになってきた。18歳になると親はもう保護者ではなく「養育の支えになる立場にある人」ということになるが、今まで同様、親への働きかけや助言、面接の基本姿勢は変わらない。 

 

■主な変更点 

・逆送の対象事件が拡大された 

・特例として6月と2年の新しい保護処分ができた 

・保護観察中に遵守事項違反があり少年院送致となった場合は保護観察停止とする。少年院と保護観察所が連携して改善更生を図る 

・3年以下の範囲で少年院送致 

・ぐ犯少年として少年審判に付すことができなくなった 

・実名等報道規制が解除された 

■18歳になると可能となること 

・住居進路を自分で決められる 

・親の同意なく携帯電話、車購入クレジットカード、マンション契約を締結できる 

・10年のパスポートを取得できる 

・裁判員への選任・国家資格の取得 

・性別変更の審判を受けられる 

・結婚可能年齢が18歳となる 

■従来通り20歳にならなければできない行為 

・飲酒・喫煙・公営ギャンブル・養親側の養子縁組・大型中型自動車免許取得・国民年金への加入   

令和4年度の研修報告

第一期定例研修会 

  • 実施日 令和4年6月10日(金)  
  •   所 市民会館3階講義室 
  • テーマ 「高齢又は障害のある対象者の処遇について」 
  • 師 大阪保護観察所 主任保護監察官 北口拓哉 氏 
  • 参加者 40名 

今回の研修では、高齢又は障害のある対象者の特徴を理解し、これらの対象者に対するはたらきかけの方法や、社会資源につながるための工夫等について学びました。 

障害の種類には知的障害や精神障害があり、障害者手帳には、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、身体障害者手帳があります。 

  • 障害者の処遇にあたって注意すべき点

①一人の人間として尊重し、かつ人権に配慮する。 

②傾聴の姿勢を示し、信頼関係作りに努める。 

③指示や指導は明確にわかりやすく行う。 

④対象者と処遇者の間で転移(対象者が処遇者に依存的になり、愛情や憎しみといった感情を向ける事)、 

逆転移(その逆で処遇者が対象者に対して)が起きやすいことを認識する。 

⑤医療又は福祉的措置が必要になる。 

⑥家族との信頼関係構築に留意する。 

⑦危険を感じる場面では迷わず110番する。 

  • 高齢の対象者の処遇について注意すべき点

①親族や地域とのつながりの希薄化、社会的孤独 

②飲酒やギャンブル等の嗜癖 

③経済的困窮 

④各種疾患へのリスク 

⑤特定の犯罪行動の反復 

⑥情報量の少なさ、新しいことへの消極性  

以上の点を考慮しながら処遇活動を行う。 

また、障害者の処遇については、司法的対応より福祉的対応の比重が大きくなる傾向があります。研修では、それぞれの相談窓口について説明および確認の後、各々の事例について隣席の出席者で話しあいました。    

令和4年度の研修報告

 三団体合同研修会

  • 日時 令和4年316()
  • 場所 市民会館第1会議室
  • テーマ 「寝屋川市いじめ解決に係る新アプローチ」
  • 講師 寝屋川市危機管理部監察課 課 長 國村幸司 氏
    寝屋川市教育委員会    教育監 山口健司 氏

 子ども達を取り巻く状況は、「いじめ」「不登校」「虐待」等諸問題が複雑に絡み合い、学校に求められる対応は幅広くなってきている。文部科学省がいう「チーム学校」について、本市でも多様な人材の専門性を生かし同じ方向で取組んでいる。

子ども達の考える力をつける道徳教育やディベート教育の推進により「寝屋川だから学べる」寝屋川の教育を確立。教職員が同じ視点で「寝屋川スタンダード」の学習法に取り組み、全国学力学習状況調査においても成果が出ている。

生徒指導では、各校でのケース会議にスクールソーシャルワーカーが参加、保、幼、小、中関係諸機関と連携し、問題の未然防止に繋げている。

総合教育研修センターでは、登校支援教室、さわやかフレンド、電話相談等を実施。開発的生徒指導(一部の問題ある子どもだけではなく全員が充実した学校生活を送れることを目ざす生徒指導)として、小6の全ての児童にピア・サポート・プログラムによる人間関係づくりのアクティビティを行い、小中間の段差をなくし、不登校減少に繋げている。令和2年度の不登校児童・生徒千人率は、全国・大阪府が上昇傾向にあるのに対し寝屋川市は減少傾向にある。

いじめは、早期発見・早期対応が重要である。中学校では「中学生サミット」を開催し、「寝屋川スマホ・ネット5か条」を独自に制定し、健全な学校生活を提唱している。

平成23年の大津市いじめ事件がきっかけとなり、2年後「いじめ防止対策推進法」が成立。国・地方自治体がいじめ防止に責任を負う事が明文化された。

本市ではこどもを守る課が対応していたが、実際には学校や教育委員会が行っていた。いじめは人権侵害で人権問題であるという認識から、令和元年10月市長部局に監察課ができた。

学校・教育委員会ではない市長部局がいじめ対応を行うのが危機管理部監察課である。監察課ができた意義は、より多くの目で子どもいじめに関わることができるようになったこと。教育委員会と危機管理部で役割分担ができるようになり学校側も好意的に捉えている。

各校では、学期に一回児童・生徒にアンケートを実施、教育委員会に報告するとともに監察課とも情報を共有している。

本市のいじめ認知件数に関する統計では小6から中1で倍近くになっている。小学校低学年では身体接触。高学年になるとSNSやスマホ操作等学校外でのいじめが主に認知されているが、全国・大阪府と比較すると本市は非常に少ないと言える。

監察課では、調査・勧告ができるよう条例を定め、法的措置が必要な場合、裁判費用を本市が負担することもできる。「いじめ情報チラシ」を毎月1回配布。また、6月と11月には保護者向けチラシも配布するなど啓発に努めている。(参加者41名)