【会報77号より】視点:「トモローランド」の夢2

「トモローランド」の未来 

友中校区 財津 修

非営利組織の活動は「社会課題の解決」という数字に表せないものであるため、活動がうまくいっていなくても危機感が共有されにくく、やり方を変えるという行動につながらない。 

トモローランドも設立3年目には支援団体からの資金提供が先細り、さらに会費の徴収の道が絶たれるなどで多額の借金を抱えるという存続の危機を迎えた。私は、「支援をしない団体が悪い」と不平不満を口にして、このまま負債を抱えての解散しかないと考えていた。 

この状況下で新たな支援団体探しと借金返済のため、収益事業の立ち上げを提案するつわものが現れた。彼女は、学校と掛け合ってレンタル費用の大半を捻出し、有志の応援団を作り、6年間で50万円の借金を返済し終えるという快挙を成し遂げ、経営安定化の礎を作ってくれたのだ。借金完済とともに、新たな地域の団体からの支援を受け、経営は安定化と健全化を取り戻していった。 

この経験を踏まえ、私たちは、この先団体からの支援が得られなくても活動が存続できるという道を探し求めることにした。 

最大の支出である教材のレンタル費用をなくすために教材を自ら開発することを決意したが、それは膨大な時間と労力の伴う作業であった。令和4年4月、国語と算数の教材開発に成功し運用を開始した。翌年3月にはこれまで12年間提供を受けてきた教材の契約を解除した。 

この教材の自前化は思わぬ副産物をもたらした。 契約の縛りがなくなったので、教室を複数運営することが可能になり、これまで友呂岐中学校区に一つだった教室を、石津、木屋小学校区にも開設することができたのである。 

また、全国に六千、七千あると言われる「子ども食堂」への教材提供の道が開けた。「プリントを使った自学自習システム」は、教材を教える側の視点で丁寧に作っている。このことが、近所のおじちゃん、おばちゃんで運営する「子ども食堂」との親和性を非常に高いものにしている。  

さらに、子ども食堂に来る子どもたちは、塾とは違って来たり来なかったりする上に多様で、学習意欲も決して高いとは言えない。プリントによる学習は個別対応が容易なため、そのような子どもには適していると思う。 

もう一つはネット展開である。メタバースという仮想空間で構築した教室にアバターとして生徒と指導者が集うようにし、そこで開発したこの教材を利用するという展望である。「変化を脅威としてみるのではなく、機会・チャンスと捉えて変わっていくことの重要性」を教えてくれたピーター・F・ドラッカーの著書『非営利組織の経営』を非営利組織に関わる人には是非お勧めしたい。

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